身体障害者手帳の審査内容に関する開示請求の方法・内容、分かったこと【東京都の体験談】

私は、身体障害者手帳を医師の診断書2級(1回目は上下肢2級、2回目は体幹2級)で申請しましたが、東京都からは1回目は5級・2回目は却下と判定されました。

この東京都の決定は、厚労省の公開する例や、障害程度等級表解説と乖離する決定に見え、納得できませんでした。

そこで、なぜこの判定になったかを知りたいと思い、東京都に対して開示請求を行いました。

この記事では、私が開示請求実際に申請した内容、そして得られた資料の種類・内容、「その過程で見えてきた判断の仕組み」、開示請求して良かった点と改善案を共有します。

これは、あくまで私の例になりますが、同じように東京都等で障害者手帳の判定に疑問を抱いている方の、一歩になると幸いです。

目次

開示請求の種類:「保有個人情報開示請求」

行政への開示請求には2つの種類、
「保有個人情報」と「公文書」があります。
今回は、私自身の審査内容についての開示請求のため、「保有個人情報開示請求」を行いました。

障害者手帳の審査内容の開示請求を行うために、実際に私が請求した内容

実際に私が請求した内容

私は、身体障害者手帳に関する2回の審査について、申請書に以下の内容を記載して開示請求を行いました。

「私の身体障害者手帳(東京都第XXXXXX(上下肢2級申請が5級になったもの) 及びXXXXXX(体幹2級申請が却下されたもの))にかかる、 審査に関する私の個人情報の全て、審査に関わる審査機関との通達・連絡記録の情報の全て、審査に関わる認定医師が参考とした資料の全て、審査に関わる議論の記録全て、また以上の内容以外にも審査に関わる記録された媒体」

開示請求が初めてで、請求できる資料の種類のイメージができませんでした。そのため、既に同じ身体障害者手帳の審査に関する開示請求をしていたフォロワーさんの内容を参考にさせて頂きました。

開示請求の結果として実際に届いた文書

上記の内容で請求した結果、私に届いた文書のリストです。

アンダーラインの文書が、特に個別の審査内容の詳細がわかる資料で、開示請求して良かったと思ったものです。

他の資料は、既に自分がコピーを持っている書類や、形式的・一般的で私の審査自体には関係のないものでした。

計61枚でした。

2回の審査に共通して届いた文書

  • 身体障害者手帳交付等申請(届)書
    :私が窓口で申請した申請書の写し
  • 身体障害者診断書・意見書(肢体不自由用)
    :私が提出した診断書・意見書の写し
  • 身体障害者手帳内容照会票(それぞれ第1回分、第2回分)2回の審査で計4枚
    :「障害者手帳担当の判断」(等級)、認定医師の「審査結果(等級及び再認定の可否等)」とその理由、合議における「審査結果(等級及び再認定の可否等)」とその理由などの記載

「身体障害者手帳内容照会票」からわかったことは、
東京都の身体障害者手帳の判定の仕組みです。
これは一枚紙の様式ですが、この1枚で3つの判定が行われてました。

①まず、障害者手帳担当者が等級を判断し、認定医師にその等級で良いか確認依頼のコメントを残す

②その後、認定医師が改めて等級を判断し、理由とともに記載する

③最後に、「合議」という形で、複数名が②の認定医師の等級で良いか判断する。(確認した人が、レ点してありました)

  • 診断書・意見書の照会票 2回の審査で計2枚
    :「照会内容」(東京都心身障害者福祉センターから診断書・意見書を記載した指定医への照会内容)、
    「回答」(指定医からのその照会内容への回答)

「診断書・意見書の照会票」からわかったことは、
東京都から指定医への照会の仕組みです。
申請時の指定医の診断した等級と東京都の判定が大きく変わる場合や、
追加の質問事項がある場合には、東京都から指定医にこの紙面で内容の照会が行われていました。

私の2つの審査では、以下の流れでした。

①「身体障害者手帳内容照会票(1回目)」を使った、担当者と認定医師の判断で、等級が落とされる(または却下される)。

②「診断書・意見書の照会票」で、東京都の判断では等級が異なるが、追加の情報などあるか、指定医師に連絡がいく。指定医師が回答する。

③指定医師の回答を踏まえ、もう一度「身体障害者手帳内容照会票(2回目)」を使った、担当者と認定医師の判断+合議で、最終的な等級が決定される。

上下肢2級で申請して5級で認定された審査についてのみ届いた文書

  • 「身体障害者手帳の交付について(令和6年〇月〇日交付分)」の決裁書一式
    :この日付で手帳が交付する予定の300件分をまとめた決裁の写し

体幹2級で申請して却下された審査についてのみ届いた文書

  • 「身体障害者手帳交付申請等の却下について(第〇回東京都社会福祉審議会身体障害者福祉文科会審査会からの答申)」
    :この審査会にかけらた約100件の事例の却下等の決裁書一式の写し
  • 身体障害者手帳再交付申請却下通知書および却下理由
    :私がすでに交付されていた却下通知と理由の写し
  • 身体障害者手帳審査諮問票(第〇回身体障害者福祉文科会審査部会用) 1枚紙
    :「諮問内容・理由」(新しい等級の手帳交付は非該当とする旨と、その理由)、
    「答申」(諮問内容の通りに、手帳交付非該当と認める旨と、その理由)

これらの資料を見ての私の予想ですが、却下になる場合には、年に4回開催される審査部会にかけられる印象でした。

「身体障害者手帳審査諮問票(第〇回身体障害者福祉文科会審査部会用)」には、「身体障害者手帳内容照会票(2回目)」とほぼ同じ結果(却下)・内容が印字されていました。

話し合いがされたようなメモの様な形跡は全くなく、
また同じ審査部会で約100件分の事例が取り上げられたようなので、
ほぼ形式的に行うものの、ここで結果が変わることはほぼないと感じました。

※あくまで私の予想ですので、全然異なる可能性もあります!

請求して良かったこと

  • 身体障害者手帳の審査の流れに対する理解が深まった
  • 障害者手帳の都の担当者が、どのような判断材料で等級をつけたのかが分かった
  • 認定医師が、どのような判断材料で等級を下げた・却下したのかが分かった
  • 私の場合は、都の担当者の判断した等級を、認定医師がさらに下げていたことが分かった
  • 診断書・意見書を記載して下さった指定医と、都の間でどのようなやり取りがあったのか分かった

これらがどうして良かったかというと…

◆認定医師が等級が下げた理由から、東京都の審査の基準が少しわかった!
◆そして、その理由・基準が不適切であると、具体的に訴えやすくなった!

⇒審査請求(不服申し立て)や、今後の東京都への要望活動に使える材料が手に入りました!

改善案(次に開示請求するなら…)

  • 書類にかかれている内容・判断理由は、1文・2文程度の最低限のものもあったので、電話記録やメモも請求すれば良かったと思いました。
  • 他に開示請求をされた方に伺ったところ、自治体によっては審査会の様な会議は実施せずに、メールベースで稟議を済ませることもあるそうです。そのため、関連する「メール」も開示請求に含めば良かったと思いました。
  • 認定医師の判断理由が、東京都の障害程度等級表解説と乖離する内容であったため、何も基準として判断しているのか、しっかりと確認したいと思いました。そのため、申請内容では「審査に関わる認定医師が参考とした資料の全て」ではなく、より具体的に例示して請求すれば良かったと思いました。

これらの反省点をもとに、もしもう一度開示請求を行うなら…という改善案を以下に作成してみました!

改善案(具体的な申請内容)

私の身体障害者手帳(東京都第XXXXX号および6心福障第XXXX号)に関する審査に関し、以下の個人情報等の開示を請求いたします。

  1. 私に係るすべての審査関連個人情報(区および東京都福祉局が保有する、障害者手帳に関する記録、及び電話・メールを含む連絡記録の全て)
  2. 審査に関わる関連機関・審査機関間の通達・連絡記録(例:区と東京都福祉局間の伝達・連絡、東京都福祉局内部での伝達・連絡等を含む。メール・記録・メモ等が存在する場合はその全て)
  3. 審査機関と指定医師との間における通達・連絡記録(メール・文書・メモ等)
  4. 認定医師および担当者が審査にあたり参考とした資料一式(指針、内部マニュアル、評価基準、診断書評価表等を含む)
  5. 審査に関する議論・意見等の記録(審議会議事録・メール・メモ等を含む)

もし開示請求を行う予定がある方は、
こちらの内容は自由に修正して、もしくはこのままご使用頂いて問題ありません!

保有個人情報の開示請求の方法・手順(東京都の場合)

開示請求の「方法・手順」については、こちらのブログで詳細を説明しているので、ご参考ください!

このブログを見て頂ければ、東京都の場合は、全ての作業に30分もかからずに手続きができると思います。
また、全て郵送で手続きした場合も、印刷代や切手代等全てで2000円程だと思います。

最後に

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

行政の審査に納得がいかなかった場合には、審査請求(不服申し立て)を行うこともできます。(今度、別記事で紹介します!)

ただ、審査請求(不服申し立て)は、手続きにかかるかかる時間も、書類作成の労力も大きく、その割に結果が変わらないことがほとんどで、精神的なストレスも大きいです。また、結果を受け取ってから3か月以内という期限もあります。

一方、開示請求は、期限もなく、手続きもかなり簡単で、身体への負担が少ないと実感しました。
また、待っている時間や届いた書類を見る際のストレスもほとんどありませんでした。

このように、私たちの負荷は軽く手続きが簡易である反面、
自治体の障害者手帳の担当者は、全ての資料を探し、書類を準備し、許可をとり、印刷をするという作業が発生します。
この作業を通し、自治体の職員に「この手帳の判定に不服を感じている人がいる」と知ってもらえる行為だと思いました。

また、開示請求によってデータが集まれば、議員さんへのお願いや請願書などでより根拠のある訴えができ、状況改善の可能性が高まります。


障害者手帳の等級が低く認定されてしまった方、
まずは開示請求をして理由を知ってみることはいかがでしょうか?

体調が悪い中、行動を起こすことは大変ですが、状況を変えていくためには、患者自身が出来る範囲で行動を起こす・声を上げていくことも、大切だと思っています。(もちろん体調に無理のない範囲ですが)

もしも、東京都の障害者手帳に関する開示請求を検討される方がいらっしゃれば、DM等で全面的にご支援させて頂きたいと思いますので、お気軽にご連絡頂けますと幸いです。

あなたの歩みが、一歩でも前に進むきっかけ、
適切な支援につながるための一歩になりますように。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

\情報が役にたったらシェアお願いします/
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
きい
看護師&保健師・公衆衛生修士
●2021年夏 デルタ株(+)
●勤務経験:総合病院、行政機関etc
●このblogでは、
私の4年以上LongCovid奮闘記と、
その中から皆さんのお役にも立てそうなトピックをお伝えしています。

Comment

コメントする

目次